ならば、その覚悟に応えよう。

ティーダは目を閉じる。

「風の名を謳う」

その出だし、嘗てシオン一味に属していたヴラドならば知っていよう。

「我が名は『ティーダ・グリフィノー』。名の契約に従い、血の盟約に応えよ、ロイエ・グィーネ」

…一陣の風が吹いた。

強く、優しく、清らかなる清浄の風。

同時にタイマントーナメントのリング上に顕現したのは、風の精霊女王グィーネ。

「…準決勝で、もう女王召喚か」

審判のヴラドが薄く笑う。

何とレベルの高い戦いか。

ティーダの背後に現れ出でたグィーネは、彼を両手で慈しむように抱き締める。

そのまま一歩踏み出したティーダは。

「がはあっっっっっっ?」

龍一郎の身の内の禿鷲すら反応できないほどの速度で、擦れ違い様の胴薙ぎを放った!