動きは先読みされ、スピードそのものも上回られる。

何もかも、龍一郎はティーダの先を行っている。

信じられなかった。

一体どんな修行をしてきたのか。

どんな覚悟と信念を以ってすれば、この短期間でここまでの実力を得るに至るのか。

「悪いなティーダ」

龍一郎は言う。

「ちょっと事情があってよ…負けられねぇんだ」

龍一郎の表情は、ただ最強の称号を得たいが為に戦う野心家のものとは、また違ったものだった。

彼は、何かを得る為に戦っているのではない。

天神学園で一番強くなるとか、そういった目的とは異なるものを見据えて戦っている。

「…そうか」

ティーダは脇腹を押さえて立ち上がった。