床を叩くユースティティア。

しまったと思った時にはもう遅い。

龍一郎は斬撃を躱し、脇腹に上手く潜り込みながら廻し肘打ちを放つ！

撃統頂肘（げきとうちょうちゅう）！

肝臓の辺りを強打され、ティーダはダウンして悶絶する。

風の精霊の加護を得た動きを、生身で躱せるのか？　

…いや、生身じゃない。

『何とか時凍えの動きに、肉体が耐えられるようになってきたな』

禿鷲が呟く。

龍一郎は拓斗の指示通りに基礎の稽古を反復する事で、強靱な肉体を作り上げた。

それは同時に、本来臥龍だからこそ耐えられる技法である高速歩法『時凍え』にも、ある程度耐えられるようになる事を意味した。

封印されていない禿鷲が使う全力の時凍えの、4割程度。

それでも、風の精霊の加護を得た動きを上回るほどの速さだった。