その感動の瞬間に水を差すように。

『起きたか、龍一郎』

禿鷲が淡々と言う。

「……………………え?」

涙ぐんでいたすずが一転、呆けたような顔をする。

「おぅ、悪ィ悪ィ、バルトメロイの不意打ち喰らって失神してたわ。禿鷲、お前が咄嗟に防いでくれたのな」

『無論だ。貴様のような小僧でも、仮の宿だからな。住まいを壊されてしまっては俺が困る』

「助かったぜ」

…このやり取りから察するに、龍一郎は心停止してはいなかったらしい。

そして禿鷲は、それを知っていながら鎌をかけた節がある。