ここで目を逸らしたら柳先生のことだ…きっと気付いてしまう。


「何もありません、ただ本当に…母親と暮らしたいと思ったんです」


真っ直ぐ柳先生の目を見て答えた。

ドクン。

ドクン。


お願い、心臓の音までは聞こえないでー…




「…そっか」



柳先生はふっと笑うと、頬に触れていた手を離した。




「お母さんが一緒に暮らしてくれるなら良かった。今まで一緒にいれなかった時間を取り戻せるといいな」


「…はい」

「学校は大丈夫なのか?」

「今まで通り、通います。少し遠くなりますけど」

「そうか。良かった。何か急すぎて驚いたけど、これでいいんだよな」


¨これでいいんだよな¨



「…はい」



そう、これでいい。




これが私の選んだ道。