「…母親と暮らす?」

お母さんに電話をした夜、学校から帰ってきた柳先生にすぐ伝えた。


「はい」


「そうか…」


そう一言だけ言って、柳先生は黙ってしまった。


柳先生には唐突なことだろう。

遺書のことも、お姉さんのことも知らないから。


「お母さんから連絡きたのか?一緒に暮らそうって」

「いえ。私から言いました。そろそろ、母親の元に戻りたいと思って」

違う。本当はー…



「勇気出して連絡したら、一緒に暮らしてもいいって言ったんで…気が変わらないうちに、明後日には出ていきます」

「明後日?!」

柳先生が驚いた顔をした。


「…本当に急だな。何かあったのか?」

ドクン!


「いえ…何も…!」


柳先生の手が頬に触れ、顔を上に向かされる。


じっと目を見つめられる。


「…っ」


まるで、心の奥底を覗くようにー…