「じゃな!」


「あ…うん」


そう言い残して佐藤くんは友達と一緒に、教室から出ていってしまった。



“心配するんだから…”



佐藤くんの言葉が頭の中を駆け巡る。



心配してくれた…んだよね?



指なんて…滅多に気付かないのに…



これって、このおまじないに期待しちゃって良いのかな…?



私は薬指を握った。



すると、綾香が教室に戻ってきた。



「あ…綾香!きっ…聞いてよ!」


「ん?どうしたの?」


私は、さっきの一部始終を話した。


「うそ!すごいじゃん朱香!これだったら両想いも夢じゃないよ!」


「うんっ」



まさか…佐藤くんと話せるとは思わなかったよ…



普段なら全然、話すことも出来ないのに…