「お、目さめたか。大丈夫?熱すごいみたいだね。なんで学校きたんだよ」


吉岡くんは笑いながら聞いてきた。

吉岡悠斗くん。クラス1の人気者。







……いや、


学年1のモテ男だ!



高身長で顔立ちもよくて…見るだけで緊張する。

私はなるべく緊張を悟られないように普通に話した。




「いや、朝はそんなにひどくなかったから..保健の先生は?」


「なんか会議があるみたいでいない。」

「………今、何限目?」



「今昼休み。あと5分で授業始まるけどな」


「いかなきゃっ!」


私は保健室を出ようとした。ちょっとフラフラするけど寝たから大丈夫だろう。

「おい待てよ、保健の先生が5限目まで寝てろって。」




「は?なんで!単位落としちゃったらいけないし...もう大丈夫だから!」


「何が大丈夫なんだよ、38.7℃あるんだぞ?」



朝は37.8℃だったのに、酷くなってる…。











…………ん!?!?






「私の体温はかったの!?」


「馬鹿か、保健の先生が運ばれてきたお前みて体温はかったの!」


あぁ、そうなんだ。私てっきり....
変なこと考えた自分が恥ずかしい...


今顔があついのは熱のせい。




「まあとりあえず寝てろ。担任に言えば単位も分かってくれるだろうし。」



「.....じゃあそうしようかな。吉岡くんは授業いかないの?」


私は顔の赤さを隠すために背を向けて聞いた。



「いかない。ここにいろって言われた。


担任は授業あるし保健の先生は会議がまだあるらしいから。

大丈夫だよ、お前の熱なんか測ったりしねーよめんどくさい」



吉岡くんは笑いながらそう言って机の上にある爪切りで爪を切り始めた。


ちょっとは優しくしてくれてもいいのに!!

あーあ!いいのは顔だけか!!!!



私はドスドスと足音を立ててベットまで歩いた。
かっこいいと思ってた私の乙女心を返して!!

カーテンを閉めるときに吉岡くんに べー と舌を出した。

「なにそれ、小学生かよ、ははは。」


カーテンの向こうで吉岡くんの笑う声が聞こえた。





私もおかしく思って小さく笑った。




「...ねぇ、吉岡くんが保健室まで運んでくれたの?」


「ああ、重かったから米俵担ぐ感じで運んだ」




「重いとか言うなし!」

「身長のわりにずっしりしてんだな」


「ずっしり言うなし!!!さっきから失礼だね!」

吉岡くんの笑う声だけが保健室に響く。




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「吉岡くん、ありがと。」


「んあ?.......ああ。」





聞こえないように呟いたつもりだったのに聞こえてたみたい。

照れくさくなって布団に入って目を閉じた。