今までも突然の雷鳴の先には時空の歪みが生じて、誰かが行き来している。



山崎さんが向こうに行ったなら、
また知らない誰かが巻き込まれてこの世界に来てるのだろうか?





ねぇ……もう一人の舞ちゃん。
そうだったら、私たちはまた新しい罪を重ねるんだね。

全く知らない人を私たちの願いの成就に巻き込んで……。




何時まで、私たちはこんなことを続けるんだろう。





どれだけ考えても、答えなんて見つからない。

自分を納得させられる答えなんて、
自分自身が受け入れなければ、見つからないってことも知ってる。






「舞、雨が降り出した。
 中に入ろう。体が冷えるぞ」




斎藤さんが気にかけてくれたのをきっかけにして、
私はようやく船室へと足を向けることが出来た。





慣れない船旅の先に辿り着いた江戸で、
今度は私はどんな罪を重ねるのだろうか……。




その罪の重さに、押しつぶされそうになりながら、
ただ今を手探りで歩き続けるしか、今の私には出来なかった。