「有難う……。
 心配してくれて。

 でもね……大丈夫だよ。


 私は知ってる。

 この大空(そら)が
 遠い未来へ繋がっていることを知ってるから」




そう告げて、
私はゆっくりと空を見上げた。






翌日、新政府軍は降伏した。



斎藤さんは前日のうちにその姿を消し、
斎藤さんがこの場所に現れていたことを知る存在は数少ない。

その歴史も、長い時間の中で淘汰されていくのかもしれない。




「ねっ、行こうか。

 敬里」



心の中に住む敬里に話しかけながら、
私は新選組と共に過ごしていた加賀舞ではなく、
高杉晋作の縁者としての舞。



ただの舞として、
その命が尽きる時まで……、
晋兄が泣き虫舞の私を迎えに来てくれるその時まで、
今の私にしか視ることのない世界を見つめ続ける。






何時か見た約束の大空が、
この世界の先に広がっていることを描きながら。






有難う、
遠い未来に住む大切な親友(とも)。