「……警察官……。
 そうか……斎藤は新選組の意思を続けているんだなー」


しみじみと感慨深そうに告げた後、
土方さんはまた地形図へと視線を向けた。


「島田さんの情報ですか?」

「あぁ。
 そろそろキナ臭くなってきた。

 また戦いが始まりそうだ」


土方さんはそう言うと、
黙ったまま地形図を見つめ始めた。



「舞、外にでようか。
 土方さんの邪魔はしちゃいけないから。

 多分、あの地形図を見つめている時間は、
 土方さんは新選組の大切な仲間たちと語り合ってるような気がするの」


小さく耳打ちした花桜は、
私を連れて土方さんの部屋をそっと出て、
隣の自室へと私を連れ込んだ。




もうすぐ最期の戦いが始まる。



そしてその前に……私も、
ちゃんと話さないといけない。


私はちゃんと伝えなきゃ。




「ねぇ、花桜ずっと黙ってたことがあるの」



逃げ出しそうになる自分の心を必死に奮い立たせながら、
私はゆっくりと花桜を向き合った。




私の秘密を語る時……、
それは私自身も、この物語の終焉を受け止める、
覚悟の時間の始まりだった。