だけど、敬里は向こうで舞を守って亡くなった。
 
 ……私、取り返しのないことした。
 自分の罪を自覚したら、体が震えだしてコントロール出来なくなったの。

 息をするのも出来なくて、
 でも謝り続けることしかできなくて。

 その謝罪に意味なんてないのに。


 倒れる前、敬里の写真を見て気が付いたんだ……。

 
 写真の中の敬里の顔が少しずつ消えて、当たり前のように
 総司の顔へと変化しているのが強く伝わって、それしか見えなくて……。


 その変貌が、世界が私を責めているように感じたの。
 怖くて、逃げ出したくて、それでも体がコントロール出来なくて動けない。

 だから畳にたたきつけて壊れてしまったら、
 もう見なくてすむのかなーって。

 そんな風にすら感じてしまった」




そう……、
それは私の甘さが招いた愚かな逃げ道。


幕末で少しは強くなれたって思ってたのに、
何も変われてない自分自身を知って嫌気がさした。





……ごめんなさい……。





自分の言葉で告げる懺悔は、
何度も何度も言葉が詰まって、
聞きやすいものじゃなかったと思うけど、
パパたちは、まっすぐに向き合って受け止めてくれた。




「瑠花さんや……。
 瑠花さんは、そんなにも自分を責めんでえぇ。

 ばあさんや、
 儂らにも、その時が訪れたのかもしれんな」



意味ありげに、
お祖父さまがお祖母さまへと告げた。
 



「それでは、私は奥でご先祖様にお許しを頂いてまいりましょう。
 あなたはこの場所で皆様のお相手を」



そう言って、お祖母さまは立ち上がって部屋を出ていった。




「ねぇ、パパ……。
 総司はどうなるの?

 私は……山波の皆様と、敬里君にどうしたらいい?
 何が出来る?」



縋るようにパパに問いかけるも、
パパは穏やかな口調で、「それは瑠花自身が見つけることだよ」っと
私に笑いかける。


泣き崩れそうになる私の頭にそっと触れたその手は、
何故か懐かしくて……鴨ちゃんを思い出した。





……やだ……。
私、鴨ちゃんの向こうに、パパを見ていたの?


そんな気づきに少し、笑みが零れ落ちる私を知った。





「どうかしたのかい?瑠花さん」

「いえっ、さっきのパパの仕草と
 鴨ちゃんが仕草が懐かしくなって……。

 性格は全く違うのに、私は鴨ちゃんの中にパパの温もりを
 求めていたみたいです」



そう告げると、お祖父さんは柔らかに微笑んだ。