その瞬間、敬里は少し嬉しそうに私に微笑みかけて、
すぐに「お休み。明日には出発だから」っとそう言って襖をしめた。





翌朝、お世話になった夫婦にお礼を告げて、
私と敬里は、近藤さんの遺髪を胸に、皆が待つ会津へと出発する。





白河で今も戦い続ける斎藤さんと少し言葉を交わし、
土方さんが療養している場所へと向かう。



そして近藤さんの遺髪を土方さんに託しながら、
京で体験した出来事を伝えた。






土方さんは近藤さんの遺髪が入った巾着を握りしめながら、
背中を向けて、肩をふるわせて泣いているみたいだった。





それから暫くして、会津公の許可をえて、
近藤さんの遺髪が天寧寺の一角に埋葬された。






あの日と変わって、
新たに動き出した歴史。






それはこれから続く歴史を知らない、
真っ新な私の一頁の始まりだった。