小学校にあがった頃だった。
うちーーー神谷夏菜(かみやなな)ーーーは、あるクラスの男の子が気になっていた。
運動神経が良くて、運動会では大活躍。
イケメンだし、背も皆より少し高いくらい。
勉強は……出来ない子だったけれど、そんな所も魅力的だった。
常にクラスの中心に居るような子だ。


うちの住んでるこの町は、田舎だ。
家から近くのスーパーまでは車で10分くらい。
コンビニは、車で5分。
ちょっと大きいショッピングモールへ行こうと思ったら、車で40分くらい。
近くは畑と田んぼが沢山。
小学校の時、風が強い時にある子の被っていた帽子が飛んで、田んぼの中に入ってしまった事もあったっけ。

この町は所謂過疎化が進んでる町で、近くの家に住んでる人は殆どおじいちゃん世代。
同い年の子なんて、可也少なかった。

小学校のクラスの子は殆どが保育園から一緒で、親同士が皆知り合い、と言ってもいい程だった。
当時のクラスの人数は17人。
男の子が11人、女の子がうち含めて7人。
小学校の全校生徒は120人くらいだった。
当然、全学年1クラスずつ。
うちらにとって、クラス替えなんて関係の無いものだった。

田舎の子らしい、と言って良いのだろうか。
クラスの子達は皆、互いを名前呼びだった。名字呼びなんてした事も無かった。

小学校3年になった頃。
初めて、クラスに『転入生』なるものが来た。
男の子だったけれど、体格はうちと変わらない程小さかった。
話していくうちに、気があっていた事に気づいた。
うちが引っ越す前に住んでいた家に、転入生は今住んでいるらしかった。

小学校5年の頃。
好きな男の子は変わっていなくて、でもその思いは告げていなかった。
算数の問題集を終え、先生に見てもらう為に列に並んでいると、後ろに転入生が来た。
授業中だったけれど、そこまで厳しくは無かったから、2人で話していると、その好きな男の子から『転入生は夏菜の事好きなんだって~』と告げられた。
転入生は『言うなって!』と慌てていたけれど、うちは別に何も思わなかった。
……友達としてしか思ってなかったからかな?
今は良く分からないけれど。