「せーんぱい!」
今日も懲りずに私のところへやって来る
井上康太
なぜかいつも私について来る
「華せんぱい??
お昼食べましょうよ????」
「なんで???」
「んー。食べたいから?」
こんな会話は日常茶飯事だ。
彼の後ろには、いつも『しっぽ』がみえる
まるで、子犬みたいだ………。
私達は中学が同じだっただけで、
それ以外の関わりが全くない。
それなのにいきなり………。
私には好きな人がいる。
滝川 翼
同じクラスで、明るい性格の彼
私は、滝川君の笑顔に惚れた。
それからというもの、
少しずつ仲良くなったのだが………
彼はとにかくモテる
私なんて、到底話すこともできない。
「せんぱい??
どこ見てるの???」
井上康太は、突然そんなことを聞いてくる。
「え、……ど、どこも見てないわよ。」
「あ、焦ってるせんぱい、可愛いー」
そんなことを言いながら当然 のように
私の隣でお弁当を食べている。
もぅ、彼がこのクラスに来るようになってから
それが、当たり前にもなってきている。
康太side---
「せーんぱい!」
これは、俺の日課。
華先輩と、ご飯を食べるため
いつも、先輩の教室に行く。
いっつも振られるんだけど………(笑)
でも、結局一緒に食べてくれる。
何かと、優しい華先輩。
でも、そんな華先輩にも好きな人がいる。
「せんぱい??
どこ見てるの???」
「え、……ど、どこも見てないわよ。」
「あ、焦ってるせんぱい、可愛いー」
この反応は白。
先輩の目の先には、翼先輩。
明らかに動揺している。
それに、気付かない振りをして、
当たり前のように、先輩の横で
ご飯を食べる。
『なんで、俺には振り向いてくれなんだよ!』
これが、俺の本音。
華先輩は、鈍感らしい。。。
俺の気持ちには気付いてくれない。
中学生の時、
俺のクラスはいつも好きな人の話しだった。
その中に、いつも、男の中では華先輩
女の中では、翼先輩の名前があがっていた。
そして、いつか誰かが、
『華先輩なら、『翼先輩なら諦める。二人はお似合い。』
と言っていた。普段女子には興味の無い俺だけど、
胸にチクっと針を刺された感覚になった。
その時俺は気付いた。
華先輩が、好きなんだと。