「………いやぁ、本当に二人ともすごい!すごいよ!さすがだ!

素晴らしい撮影だった。あっという間に終わってしまった気がするよ。本当、今までお疲れさま。

ありがとう。

はっはっは、このミネラルウォーターの売り上げがあがることは間違いなしだな!」


そう言って監督は楽しそうに笑った。


スタッフや関係者のみんなも笑顔だ。




…え、撮影終わりって…

拓夢が泥だらけなのはスルーなの?


いつのまにか起き上がっていた拓夢は、顔面までもが泥だらけだった。



「ごめんね、拓夢、ごめん…っ」

「いや、大丈夫…」


「人気俳優に私…本当にごめんなさい……




…っ……、ほ、本当にごめ…、わ、笑いとまらない…っ!」


「っ!見んなって!」


「ち、ちょ、こっち見ないで…っ!涙出てきた…」


「おい!」


拓夢は泥のせいであまり見えない目でこちらに向かってちょっとずつ歩いてくる。