撮影は海で行われた。
打ち合わせ通り拓夢と私がカップルという設定。
まずはじめは2人ともミネラルウォーターを持ち、もう片方の手はつないでビーチを歩くというもの。
日差しは少しきつく、海がきらきらと眩しかった。
「桜ちゃん!!もっと拓夢に寄って!」
「は、はいっ」
監督に注意されついあけてしまっていた拓夢との距離をすぐに縮める。
手は恋人繋ぎ…
本気で恥ずかしい。
なんて、言ってられるわけがないんだけどね。私はモデルなんだから…
ちらりと拓夢を見上げると、幸せそうに笑いかけてきた。
「…っ」
ねぇ、それは心からの笑顔?
それとも、演技?
私には、拓夢がわからない。