「はは、桜照れてる」
「照れてないよ」
「いや、照れてる」
「っ、誰だってそんな事言われたら照れるし!!」
顔が火照る。
もうやだ、ほんと。
男の人にそんな事を言われたのが初めてだった。
学校では私、あんな感じだし…。
ヒロトは優しいけど家族って感じだしね。
恥ずかしい。恥ずかしい。
ああ、こんなに自分の感情を出したのはいつぶりだろうか。
たとえ、拓夢が“山本桜”が私だと気付かなくても
今のが“峰山桜”だけに向けられていた言葉だとしても、嬉しかったんだ。
「じゃ撮影行こう、桜。」
笑いかける拓夢をよそに、私はある一点をじっと見た。
拓夢の表情を。