打ち合わせの内容は簡単なものだった。
撮影場所の決定や、CMのイメージ。
どんどん決まっていくなか、沙織さんが小声で話しかけてきた。
「ねぇ桜…
ヒロトさんって確かカメラマンよね?
今日の打ち合わせってカメラマンは関係なかったような…」
沙織さんは不思議そうにヒロトのほうを見た。
私もヒロトの横顔を見つめた。
「ヒロトは新しい私のマネージャーが見付かるまで代わりをしてくれているんですよ。申し訳ないんですけど…」
「あ、そうなの?
だから打ち合わせに来てるのね。なるほど。
確かに大変かもしれないけど…桜のためを思ってしてくれてるのよ。逆に気にしすぎたらヒロトさんに申し訳ないわ!」
ふふ、と笑う沙織さんはやっぱりお姉さんみたいな人だな、と思った。
「ありがとう、沙織さん」