始業の前の時間に、席についてぼーっとしていたら友人に呼ばれた。
「砂名―、呼んでるよー」
ドアから半身が見えているのは、見慣れない女子生徒。
名札の色を見るに、一学年下の一年生のようだ。
ちょっと来てくださいと言われ、ついて行くと、そこは校舎裏だった。
「毎朝一緒に来てますよね。大悟先輩の彼女なんですか?」
いどむような視線を向けられ、おもむろに言われた。
「チガウよ……」
蚊の鳴くような声で返事をする。
この子には私が彼女に見えたのだろうか、それともそんなはずはないという確認だろうか。
どっちにしたって私に言えることはない。
「そうですか……」
用が終わったなら教室に帰りたい、そう思っていると、彼女はさらに続けた。
「じゃあ、彼のことが好きじゃないんですか?」
キーンと、耳鳴りのような音がした。
もう一度彼女の言葉をはんすうしながらふるふると首をふる。
そんなこと恐れ多い、そういう思いが伝わるように。
「よかったー」
胸の前で手を組み、その女子生徒はぱっと明るい笑顔になった。
「幼なじみってだけなんですね!ほっとしました」
どこかで仕入れた情報だろう。彼女は私と大悟の関係を正確に言い表していた。
そして、軽やかな口調と足取りで去っていった。
「これでバレンタインに告白できます。ありがとうございました」
耳鳴りは、終わった。
「砂名―、呼んでるよー」
ドアから半身が見えているのは、見慣れない女子生徒。
名札の色を見るに、一学年下の一年生のようだ。
ちょっと来てくださいと言われ、ついて行くと、そこは校舎裏だった。
「毎朝一緒に来てますよね。大悟先輩の彼女なんですか?」
いどむような視線を向けられ、おもむろに言われた。
「チガウよ……」
蚊の鳴くような声で返事をする。
この子には私が彼女に見えたのだろうか、それともそんなはずはないという確認だろうか。
どっちにしたって私に言えることはない。
「そうですか……」
用が終わったなら教室に帰りたい、そう思っていると、彼女はさらに続けた。
「じゃあ、彼のことが好きじゃないんですか?」
キーンと、耳鳴りのような音がした。
もう一度彼女の言葉をはんすうしながらふるふると首をふる。
そんなこと恐れ多い、そういう思いが伝わるように。
「よかったー」
胸の前で手を組み、その女子生徒はぱっと明るい笑顔になった。
「幼なじみってだけなんですね!ほっとしました」
どこかで仕入れた情報だろう。彼女は私と大悟の関係を正確に言い表していた。
そして、軽やかな口調と足取りで去っていった。
「これでバレンタインに告白できます。ありがとうございました」
耳鳴りは、終わった。