次の日私は昨日と同様に授業が終わると図書室に向かった。
図書室に着くと迷いなく一番奥の本棚へ足を進めるするとそこに目的の人がいた。昨日と同じように本棚に背をあずけ座り本を読んでいた。

「樹玲央さん」

昨日見つけた彼の名前を呼ぶと本から視線を外しこちらに向け嬉しそうに目を細めながら

「よく見つけられたね」

と答えた

「よく見つけられたというか、本全部読まれたんですか」

「うん。 そうだね。 そうすれば答えが見つかる気がして」

どこか遠くを見つめる顔に少し不安になりながら疑問をぶつける。

「答えって」

「そういえば明日は遠足だね。 楽しみだ」

話題を切り替えたことをみると恐らくこの事に関して答える気がないんだろうなと思った。樹さんの隣に同じように座りながら私は先程の言葉に返した。

「そうですか。私はあまりというか行きたくないです」

何故というように樹さんは首を傾げた

「特に仲良くもない人たちといても楽しくないですし、 家で本を読んでいた方が楽しいです」

「へぇー」

自分から聞いたのに興味なさそうに相づちをうつ姿に少し怒りを覚えたが平常心を保つ。
するとふと樹さんが立ち上がり窓を開けた風になびく髪の毛とその横顔が綺麗だと思った。

「それでもね。 人は人と関わらず生きていくことなど出来ないんだよ。 将来人望が厚いのはなにかと役に立つよだから今のうちに仲良くしておきたまえ」

そういった樹さんの顔は少し悲しそうな顔だった