とりあえず、行く宛もないことだしゆっくり歩いてまわろう






そこから随分と歩いたと思う。
元いた都会とは少し変わってしずかなところそしてなにより海が見える






「海だぁ…夜の海ってこんなにきれいなんだ知らなかった」






「お前、夜の海初めてなのか?」






ービクッ






人なんていないと思ってたのにいきなり話しかけられてびっくりした






「びっくりしたぁ…人いたんだ……うん夜の海は初めて見る」






後ろを振り返ってみると、今までに見たことないくらいかっこいい男の人がいた






月に照らされた白髪がキラキラと光っていて
暗闇に光る赤い瞳は肉食動物を思わせた






「お前、どこか遠くから来たのか?」






「うん、ここからだいぶ離れてると思う」






「そうか…」






この男の人は、ずっと無表情で…それなのになぜかとても悲しそうに見えた