「俺が地味にウケた場面で芦田も笑い堪えてたり。
グッときた場面で同じように涙浮かべてたり。
そういうの、なんか感性が似てるっつーか、なんつーか、すげぇ嬉しかった」


素の顔を見られてたのはめちゃくちゃ恥ずかしかったけど、そんなの吹き飛んでしまうくらい小林くんの言葉が嬉しい。


「他の映画はもちろん、色んなとこ一緒に行って芦田がどんな反応すんのか見てみたいと思った。
次は俺から誘わせて」


それって、今度は金づるでも何でもない、正真正銘のデートってことだよね。
私は頭をブンブン縦に振る。


チケット代、自腹切った甲斐あった!
なんて心の中でガッツポーズをしてると、小林くんが伝票に手を伸ばす。


「映画おごってもらった代わりに、ここは俺が」


小林くんがあんまり自然に言うもんだから、うっかり頷きかけてはたと気付く。


「何でおごったって知ってるの?!」


チケットは懸賞で当たったって言ってたはずなのに。


「だって芦田、封筒にレシート入れたままなんだもん。
そりゃ分かるよ」


うわ、私ってば格好悪い。
私が真っ赤になって顔を覆うと、小林くんはまた笑った。