考えれば考えるほどドツボに嵌まりそう。
私はできるだけ何も考えないようにしてその後のホームルームを過ごす。
そして放課後、私は焦る気持ちを抑えて小林くんの教室を覗いた。


小林くんはいつものメンツで喋ってる。
あ、青山さんはいないみたい。
良かった…、と小林くんに話しかけようと思ったとき。


「───で、ケンタ。
芦田ちゃんとはどうなの?
そろそろ約束の1ヶ月なんだろ」


青山さんが知ってるんだから、私たちがお試しで付き合ってるのは周知の事実なのだろうけど、急に私のいないところで(実はいるけど)自分の名前が出てきて驚く。


「はたから見てると結構いい感じだよな」


「今日も髪触ろうとしただけで噛みつかれそうになったしなー」


私の存在を知らないで言うってことは、気を使ってない素直な評価ってことだ。


良かった、やっぱり青山さんの言葉なんて気にすることなかったじゃん。
なんて胸を撫で下ろしていると、


「うん…。
上手くいってると思う」


小林くんの声が聞こえて、途端に背筋が伸びる。


「かわいいし、いい子だし」


その思わぬ高評価に私が真っ赤になってると、


「───だから、正直このまま一緒にいるのはもう限界」


小林くんの言葉に私は息を飲んだ。