「先に告白した方が得するなんて、早い者勝ちじゃあるまいし」


青山さんはてきぱきと荷物をまとめて私たちの横を通り過ぎたかと思うと、ドアのノブに手をかけながらゆっくりこっちを振り返る。
そして、


「こんなことなら、もっと早く告白しておけば良かった。
どうせあなたじゃなくても良かったんだから」


そう吐き捨てるように言って出ていった。


「───あんなの、気にすることないよ。
お試しにせよ、小林くんはサチと付き合うことにしたんだから自信持ちなって」


まきちゃんがすぐさま慰めてくれるけど、頭からモヤモヤが晴れない。


青山さんが言ったのは事実だ。
小林くんは別に私が好きだから付き合ってるのとは違う。
断りきれない、そんな小林くんの優しさを私は利用してるだけ。
順番が違ってれば、今青山さんと付き合ってたっておかしくないんだもん。


「さっきだって、友達に嫉妬してたじゃん。
ちゃんと好かれてる証拠だって」


確かに、好かれてないとは思ってない。
小林くんはいつだって優しいし、大事にしてくれてる。
だけどそれが恋人としてなのかどうかは分からない。


ずっと気付かない振りをしてたけど。
小林くんと付き合って、もうすぐ期限の1ヶ月になってしまうんだ。