震える手で財布と携帯電話を握りしめタクシーを降りると病院のロビーへ駆け込んだ




受付で誠の場所を聞こうとすると



「奥さん!」



誠の同僚に声を掛けられた



「すみません、大変なときに。誠さんにもやめろって言われたんですけど。」



「主人の意識はあるんですか?」




「えっ!はい。あっここです」



容態を聞く前に処置室に着いた



扉が開くと目の前にはおでこにちいさな絆創膏を貼った誠がいた



叶が駆け寄ろうとすると



「走るなよ」と誠はすたすたと近づいてくる




「へっ?」「叶っ!?」叶は力が抜けてしゃがみこみながらもとっさに支える誠の体を頭から足先まで見た