本当、光蓮様はこんなにも気が利いて紳士的なのに、なぜ息子のアイツは、あんなにも無茶苦茶で横暴なのか。


「蘭さんさえ良かったら、私の隣にどうぞ」


心の中で紅蓮に文句を言っていた私を、ふわり優しい声が包んだ。


声の方を見れば、そこには色素の薄い茶色の髪が綺麗な、私と同じくらいの女の子がいた。


この子、確か……親子結びの場にもいた。

それに今、"紅蓮お兄ちゃん"って言った?


え……つまり何?この可愛い子は紅蓮の妹ってこと?嘘でしょ??

……歳は私とあまり変わらなそうかな。


「あ、えっと、じゃあ……失礼します」


ずっと立っているわけにもいかないし、ここはお言葉に甘えようと慌てて返事をして隣に腰をおろせば、色素の薄い茶色の瞳に見つめられ、トクンと心臓が跳ねた。


女の子相手に、何をときめいてんだ私は!


……にしても、同じ生き物って言われるのが恥ずかしいと思えるくらいには目鼻立ちが整った綺麗な顔だなぁ。

それに加えて、色白なせいかどこか儚げな印象を受ける。


「では、皆揃ったことだ。食事にしよう」


隣の女の子に見惚れていた私は、光蓮様の声で我に返り、みんなにつられるようにして両手を合わせた。