***
結局、広間に辿り着いたのは、虎太が呼びに来てから十分ほどたった頃。
みんなが待っているだろうと慌てる私とは正反対に、顔すら出したくない雰囲気を出す紅蓮を半ば引きずるように連れてきたのはいいけれど、
「遅かったな、紅蓮」
「申し訳ありません。……蘭の身支度に時間がかかりました」
「はぁ!?」
悪びれる様子もなく私のせいにした紅蓮を軽く睨めば、"とりあえず座りなさい"と光蓮様に柔らかく微笑まれ慌てて笑顔を作る。
「どうせ紅蓮がここに来るのを渋ったのだろう、蘭殿には苦労をかけるな」
「……い、いえ!」
さすが光蓮様。
紅蓮のことはお見通しらしい。
そんな光蓮様の言葉に再び不機嫌を丸出しにした紅蓮は、広間の入口に私を残したまま、スタスタと先に席へと歩き出してしまった。
「ちょ、紅蓮……!」
私の声に一度小さく振り返って、すぐにまた歩き出す。有り得ない。
つくづく紳士の欠片も見当たらない男だ。せめて席に案内してから放置して欲しい。
「全く……アイツは。すまないね。どこでも好きな席に座ってくれて構わないよ」
どうしていいか分からず、その場から動くに動けないでいた私に光蓮様がすかさず声を掛けてくれる。
結局、広間に辿り着いたのは、虎太が呼びに来てから十分ほどたった頃。
みんなが待っているだろうと慌てる私とは正反対に、顔すら出したくない雰囲気を出す紅蓮を半ば引きずるように連れてきたのはいいけれど、
「遅かったな、紅蓮」
「申し訳ありません。……蘭の身支度に時間がかかりました」
「はぁ!?」
悪びれる様子もなく私のせいにした紅蓮を軽く睨めば、"とりあえず座りなさい"と光蓮様に柔らかく微笑まれ慌てて笑顔を作る。
「どうせ紅蓮がここに来るのを渋ったのだろう、蘭殿には苦労をかけるな」
「……い、いえ!」
さすが光蓮様。
紅蓮のことはお見通しらしい。
そんな光蓮様の言葉に再び不機嫌を丸出しにした紅蓮は、広間の入口に私を残したまま、スタスタと先に席へと歩き出してしまった。
「ちょ、紅蓮……!」
私の声に一度小さく振り返って、すぐにまた歩き出す。有り得ない。
つくづく紳士の欠片も見当たらない男だ。せめて席に案内してから放置して欲しい。
「全く……アイツは。すまないね。どこでも好きな席に座ってくれて構わないよ」
どうしていいか分からず、その場から動くに動けないでいた私に光蓮様がすかさず声を掛けてくれる。