ただ自分がどこにいるのかを知りたいだけなのに、さっきから全然話が見えなくて、この一瞬のうちにどんどん不安になる。
それに……
「私は東里 楓(あいざと かえで)。東里家の当主、東里 夜雨(あいざと よさめ)の妻よ。あなたは?見たところ、この辺の者じゃないね?」
楓さんと名乗るこの人は、よくテレビなんかで見かける着物みたいなものを着ていて、
小袖みたいだけど、もっと動きやすそうな……朱色の着物に若草色の羽織が鮮やかでとても綺麗だ。
「…私は、涼風 蘭(すずかぜ らん)と言います」
「涼風……聞かないね。どこから来た?」
ぐっと眉間にシワを寄せた楓さんに、そんなの私が知りたいよ!と思いながらも、どう答えたら良いのか分からず唇を噛む。
「私、近くの神社にお参りに行ってて。その帰りに突然 猛烈な目眩に襲われてそのまま気を失ったんだと思います……あ、あの!私がいたのは日本の」
「分かったから、落ち着いて。話を整理しましょう。外に声が漏れたらややこしいから、もっと声を小さく」
シッと口元に人差し指を当てた楓さんは、小さな声で私の言葉を遮った。
「は……はい。すみません、気が動転しちゃって」
もしかしたら……きっと、いや……絶対に。私は家からとんでもなく離れた場所にいる。
何だかそんな気がして仕方ない。
それに……
「私は東里 楓(あいざと かえで)。東里家の当主、東里 夜雨(あいざと よさめ)の妻よ。あなたは?見たところ、この辺の者じゃないね?」
楓さんと名乗るこの人は、よくテレビなんかで見かける着物みたいなものを着ていて、
小袖みたいだけど、もっと動きやすそうな……朱色の着物に若草色の羽織が鮮やかでとても綺麗だ。
「…私は、涼風 蘭(すずかぜ らん)と言います」
「涼風……聞かないね。どこから来た?」
ぐっと眉間にシワを寄せた楓さんに、そんなの私が知りたいよ!と思いながらも、どう答えたら良いのか分からず唇を噛む。
「私、近くの神社にお参りに行ってて。その帰りに突然 猛烈な目眩に襲われてそのまま気を失ったんだと思います……あ、あの!私がいたのは日本の」
「分かったから、落ち着いて。話を整理しましょう。外に声が漏れたらややこしいから、もっと声を小さく」
シッと口元に人差し指を当てた楓さんは、小さな声で私の言葉を遮った。
「は……はい。すみません、気が動転しちゃって」
もしかしたら……きっと、いや……絶対に。私は家からとんでもなく離れた場所にいる。
何だかそんな気がして仕方ない。