なのに、紅蓮の辛そうな顔や、掠れた声が、私のことを必要だって言っている気がして、



「……ぜ、絶対勝てるわけないけど、でも……勝負することで紅蓮が満足してくれるなら私やってみる」



気づけば、紅蓮に微笑んでいた。
そんな辛そうな顔しないでって言いたくて。


紅蓮が何を抱えているかなんて、これっぽっちも分からないくせに、

少しでも、紅蓮の心が軽くなればいい……。


勝手にそんな気持ちさえ抱いてた。


どうせ、この世界から帰るすべを見つけるまで、私はここで暮らさなければいけない。


それなら、少しでも誰かの役にたちたい。
必要としてくれる人がいるのなら、今はただ全力で走ってみたい。