待って、私の意思は?
私は紅蓮の妃になるつもりは微塵もない。もちろん自分の世界にはそれなりにかっこいいな〜って思う先輩だっていたし、


結婚するなら絶対に恋愛結婚がいい。


ましてや、何らよく分からないこの世界の次期3代目当主とか言われてる紅蓮と、


お互い、一切恋愛感情がないまま結婚するなんて無理すぎる。


って、ちょっと待て。
私はそもそも元の世界に帰る方法を探して、一刻も早く帰りたいの!!


結婚なんかしたら、帰れなくなるじゃない!


冗談じゃない。

無理、無理よ!!むーーり!!!



「あ、あのさ……私は紅蓮と結婚する気はこれっぽっちもないからね!!

そもそも、好きな人とじゃなきゃ嫌だし、それに私こっちの世界に長くいるつもりはないし」



こんな冷たい空気の中、意を決して口を開いた私は親指と人差し指をもうベッタリくっつけた状態で「これっぽっち」を表現してみたけれど、



対する紅蓮は私に少しだけ視線を落とすと、「それがどうした?」とばかりに私へ言葉を放る。



「俺は、蘭以外を娶るつもりはない」



───ドクンッ