だけど、なぜかそれを見た紅蓮は短く息を吐く。まるで何かを諦めた瞬間に、体の中から嫌なものを吐き出すみたいに、短くフッ……と。
「……蘭」
───ドクンッ
そして、その澄んだ声で私の名を口にした紅蓮は、
「俺の妃になれ」
「ヒメ……?」
「なにを……っ」
何やらとんでもないことを口にしたらしい。隣で目を見開いたまま紅蓮を見つめる楓さんに、心がザワザワと音を立てて震える。
こんな時にも紅蓮の表情はちっとも変わらない。
まるで感情を殺して生きているみたいだ、なんて……自分の置かれている状況をこれっぽっちも理解できないまま
ただ、ぼんやりと2人を交互に見つめるのが精一杯な私は、これからこの世界でどうなるんだろう。
元の世界に戻れる日は来るんだろうか。
「……蘭」
───ドクンッ
そして、その澄んだ声で私の名を口にした紅蓮は、
「俺の妃になれ」
「ヒメ……?」
「なにを……っ」
何やらとんでもないことを口にしたらしい。隣で目を見開いたまま紅蓮を見つめる楓さんに、心がザワザワと音を立てて震える。
こんな時にも紅蓮の表情はちっとも変わらない。
まるで感情を殺して生きているみたいだ、なんて……自分の置かれている状況をこれっぽっちも理解できないまま
ただ、ぼんやりと2人を交互に見つめるのが精一杯な私は、これからこの世界でどうなるんだろう。
元の世界に戻れる日は来るんだろうか。