「……あー、もう。めんどくさい!私はこの世界に詳しくないの。どこの家にも属してないし、強いて言うなら東里……いや、東雲になるのかな?」


「は?」


「あと、別に私はアンタのこと怖くないし!そんな哀愁漂わせて一人で悲劇のヒーローぶるのはやめてくれる?」


「……っ」


もういい。
敬語使わなくていいって言われたし、私は私らしくコイツと体当たりしてやる。


どうせ元の世界に帰るまで、この世界で過ごさなきゃいけないんだし。


だったら、自分を偽って過ごすよりもありのままの自分で過ごしたいと思うから。



「紅蓮様……ううん、紅蓮!私、アンタを救えるかは分からないけど、できる限りのことはやって見せる。って、何のアイディアもないけど……でも」


「親父に何を頼まれたか知らねぇけど、お前みたいな阿呆づらに助けてもらうほど、俺は落ちぶれちゃいねぇよ」


私の言葉を遮って、冷たいほど私を突き放す紅蓮にチクリと胸が痛む。


こっちが歩み寄る努力をしてるって言うのに、何その言い方!!



───スッ


勢いよく立ち上がり、部屋の中央に座っている紅蓮の元へと歩み寄る。