紅蓮は私がいいって言ってくれた。

私は紅蓮の背負ってるものが、少しでも軽くなったらいいな……そう、思ってしまった。


だから、こうして妃の座をかけて頑張ってみようって、そう決めてここに立っているのに。


……だけど、あの時の紅蓮の言葉を思い直せば思い直すほど、


"私じゃなくてもいい"


……そんな答えに行き着いて。


私がやってる事って一体なんだろうって、今からでも辞退してしまおうか


そんな考えで頭がいっぱいになる。


「……蘭」


部屋を出ようとした紅蓮が一度私を振り返る気配を感じながらも、紅蓮に視線を向けることが出来ない私。こんな態度を取りたいわけじゃないのに。


「俺が屋敷に戻り次第、俺の部屋に来い」

「……分かった」

「行ってくる」

結局、紅蓮に一度も視線を向けることが出来ないまま、紅蓮は西風へと向かった。

不思議に思われたかな?
不快な思いをさせたかな?


……今になって後悔ばかり浮かぶけれど、自分でもどうしてこんなにモヤモヤしているのかが分からない今、


この感情をどう処理したらいいのか分からない。