突然ライブ会場が歪曲して、瑠斗の方へ体がなんの抵抗もなく倒れていく。


「…あっ」


ぐっとなにかに捕まれて驚いた瑠斗の顔が視界を支配するも、目が霞んできて、まぶたに重力が一点集中したみたいに重い。
息もうまく吸えずに、起き上がろうにも指先さえ力が入ってはくれない。

……まさかこんなときに…こんなのって無いよ…

…せっかく、せっかく。

意識は私の感情を無視して理不尽に薄れていく。

真っ白になっていく思考回路に、真っ黒に染まる気持ち。

瑠斗の前なのに勝手に涙が頬を伝っている。