「なりたかったとかじゃないよ。ちょっとした願望だっただけ。」


かなりあからさまに濁されてしまった。杠はまっすぐ前を見つめてこっちを見ない。
それが答えたくないということを表している。

俺は何も言わずに曖昧にそっかと頷いた。
立ち入った話とかしたいけど勇気は一ミリもない。
杠のこと知りたいけど言葉が一言も出てこない。


「いつか夢できたら教えろよ」


「なんで?」


「…叶えてやる」


自分のくちから出たとは思えないキザな言葉に一人で赤面をかますしかなかった。