「…なんでよ。え……うん、今五分休憩。

みんなよくやってるよ。

菜々子ちゃん?

あぁ今寝転んでる。

まだ勘が戻ってきてないのかもね。

あんた、ちゃんと見てあげなさいよ。
今は大事な時期なんだから…。

うん、わかった。言っとく言っとく。

じゃあ練習始めるから、切るね。
はい、うん、了解」

どうやら菜々子の母親と話していたようだった。

「お母さん何か言ってた?」

菜々子は水沢さんに聞いた。

「いつも通りの愚痴よ。
どうして母親になるといつもこうなるんだろうね…」

彼女は呟いた。

「そういえば二人ってどういう関係なの?
その今の会話を聞くとどうしても元生徒と先生の関係に見えなくて…」

「あら、言ってなかったかしら。

関係で言うと私はこの子の伯母。
つまり、この子の母親の姉が私ってこと。

私がまだ本格的にバレエやってたときに、妹の若菜は結婚して菜々子ちゃん産んでたから。

だから、若菜は私がバレエやってた影響で菜々子ちゃんにバレエ習わせたのかもしれないけどね」

「そうだったんだ。まさか血縁関係にあったとは驚き」

桂碁にとって彼女の話は非常に興味深いものだった。