「馨さんはなあ、すっげえ苦労性な人だった」


「え……」


「お前によく似ている。あの三人のストッパーっていうのかな。テンションが暴走しやすい三人を、よくいさめていた」
 

樹の下に三人並んで腰を下ろして、真紅はただ兄弟の会話を聞いていた。
 

黎の話に、架は顔を引きつらせる。


「三人のノリは前の方が激しくてなあ。馨さんが止めないと、ずっと喋り続けているくらいだった」


「………今の俺だ……」


(そうなんだ)
 

真紅は黙っていることにした。


黎は「よく似てるって言ったろ」と続けた。