「………っ」
架の喉がひきつって音をもらした。
「………」
真紅はただ、兄弟の会話を待つしかない。
「……いつから? 兄貴は……知ってたの?」
「最初からだ。お前が弥生さんの腹の中にいる頃、弥生さんは俺を馨さんとも逢わせた。
当時はまだ誠さんと許嫁の関係だったけど、いずれ解消して桜城の家を出て、馨さんと結婚するって」
「最初からって……どうして、今まで教えてくれなかったんだよ……」
「三人がそう決めたことだ。それに、俺にとってお前が弟であることに変わりはない。
お前に弟以外の場所をやるつもりはないし、お前以外の奴にその場所をやるつもりもない」