苦笑すら混じったように聞こえる声は、ただ哀しい。


架にとって兄は誇りですらあったのだろう。


真紅と話したことの端々から、尊敬しているのはよく見て取れていた。


一番ショックだったのは、そこなのかもしれない。
 

黎はため息をついた。


「何言ってんだお前」


「ちょ、黎っ」
 

突き放すような言い草に、真紅は焦った。


今傷付いている架にそんな言い方――


「親が同じじゃなくたって弟に決まってんじゃねえか。俺はそう思ってるけど、お前は違うのか?」