ー次の日の朝


「どうしよう....!遅刻しちゃうーっ!」

あたしは電車を乗り過ごし、大慌てで学校に向かって走っていた。

このペースでいけば、あと15分くらいで着くはず....!

ギリギリ間に合うかも....!!

気持ちを高め、スピードを上げた瞬間ー


グイッッ!!


「きゃあ?!」


突然、持っていたカバンが後ろに引っ張られあたしは悲鳴を上げた。


「おい!挨拶もねーのかよ?」


その声とともに振り返ると、そこにはまさかのセイくん!

「あ!綾瀬くん、おはよう!
って、ごめん!あたしすっごく急いでるの〜!」

「あ、もうそんな時間?」

顔色ひとつ変えずに、サラリと言うセイくん。

「うん!そんな時間なの!
だからお願い!その手離して〜〜?!」

「えー。やだ。一緒に遅刻しよ?」

泣きそうなあたしをからかうように、ニッコリ笑うセイくん。

「本当にお願いっっ!今行けば間に合うかもしれないの!」

「もう間に合わねーって。諦めれば?」

これだけお願いしてるのにも関わらず、呑気にあくびをしてるセイくん。

「もうっ!綾瀬くんのイジワルっ!!大バカっっ!!」

気づけば、セイくんに大声で叫んでいた。


「そんなに遅刻したくねーの?」

「......え??」


グイッッ!!


セイくんはそうひとこと言うと、そのままカバンごとあたしを引っ張って走り出した。

「....きゃあっ?!
ちょ、ちょっと!!綾瀬くん?!」