「遅い時間まで、付き合わせちゃってごめんね。
もうちょっと早い時間だったら晩御飯でも〜って思ったんだけど....。」

買い物を終え二人で歩いていると、ハル先輩がしょんぼりしながらそう呟いた。

「い、いえいえ!お気になさらず!
少しでも先輩のお役に立ててよかったです。
妹さん、気に入ってくれるといいですね!」

「リセちゃん〜....。
本当に本当にありがとう〜。」

ハル先輩は泣きそうな顔であたしを見ると、持っていたプレゼントを両手でギューッと抱きしめ顔をそこにうずめた。

そんな先輩がなんだか可愛くて、あたしはフフッと笑った。

「あっ!そうだ!」

ハル先輩は何かを思い出したかのように、制服のポケットをゴソゴソしはじめると、

「はいっ!リセちゃん!
今日付き合ってもらったお礼!」

「え?!」

突然ハル先輩が、自分の手をあたしの前に差し出した。

「あ......これ...。」

ふと先輩の手に目をやると、そこには雑貨屋さんで売られていた可愛らしい小花柄のバレッタ。

「リセちゃん、これ可愛いって見てたから...。」

「え?!あたしの独り言聞いてたんですか?!」

「あはは!気にしないで、ほんと。」

驚くあたしを落ち着かせるように、優しい声で話すハル先輩。

「あ.....ありがとうございます!大切にします。」

ペコリと頭を下げるあたしを見て、ハル先輩はニコリと微笑んだ。

「じゃあ。帰り道、気をつけてね。」

あたしを最寄駅まで送り届けてくれると、ハル先輩は笑顔で帰っていった。