「あ、アキくん!こんな時間に会うなんてめずらしいね!」

マキちゃんが驚きながら、そう言った。

「あー。今日は急遽、時間割変更があってさ!
俺らは今から体育館に移動!」

「そうなんだ!お互い頑張ろうね!」

マキちゃんと三島くんの会話を横で聞いていた

その時ー


「なぁ、リセ!菓子持ってきた?」

「え?!」

突然、セイくんが耳元でコソッと呟いた。

「そ、そんな昨日今日で作れないっ!
材料の準備だってあるし、ラッピングも可愛くしたいし!」

「えー。じゃあ、明日は?」

「明日もダーメ!今日バイトがあるの。」

「ちぇっ。オレ今日食う気満々で来たのに。」

まるで小さな子どものように拗ねるセイくんが可愛くて、あたしはフフッと笑った。


「ってか、どこでバイトしてんの?」

「え?駅裏のカフェだけど....。」

「マジ?行ってもいい?」

「あ、うん。もちろん....!」

「じゃあ、後でラインで場所送って。」

「え、え?!ライン?!」

「ほら、早くケータイ出せよ。」

少し強引に言われて、あたしは慌てて携帯を出した。


セイくん、極端すぎだよ....。

なんであたしがセイくんのこと好きじゃないってわかった途端、そんな風に接するの?

連絡先を入れるセイくんを見上げながら、あたしは心の中でため息をついた。