帰ろうとした、その時ー

「マキちゃん!」

後ろから、聞き覚えのある声が聞こえた。

振り返ると、そこには三島くん。

「あ、アキくん....!」

「マキちゃん、いつからここに?来てたなら声かけてよ!
って.....これ...ひょっとしてオレに?」

三島くんは、マキちゃんが持っていたスポーツ飲料とタオルを見るなりそう言った。

「あ....うん。でも、迷惑とかなら.....」

「マジ?めっちゃ嬉しい!
今、ちょうど喉乾いてたんだよね!
タオルも助かる〜!」


バッ!!


三島くんはマキちゃんの返事を待つことなく、スポーツ飲料とタオルを手から奪い取った。

「え?!」

「ほんとサンキューな!」

三島くんは、ニコッと笑うとスポーツ飲料を勢いよく飲んだ。

マキちゃんの方をチラッと見ると、顔がほのかに赤くなっているのが分かった。

「あ!そういえば、もう少しで終わるんだけど一緒に帰らない?もちろん野波も!」

「え?あたしもいいの?」

あたしは三島くんの言葉に少し驚きながら、二人の顔を交互に見た。


『も、もちろん!!』


二人はどこか照れ臭そうに、声を揃えてそう言った。