呪いのゲームのルール。
磨理子の日記。
君江との会話。
沙奈という、敬太の大事な人。
長すぎると思われた時間だったが、話は尽きなかった。
気付かぬうちに陽が暮れ、気付けば日をまたぐ。
あっという間に、午前3時。
「そろそろだ。外に出た方がいいのかな?」
いまだ、まったくと言っていいほど実感の湧かない私の問いに、敬太は堂々と答えた。
「いいえ。場所の指定はないので、どこであっても関係ありません」
心強いとは、まさにこのこと。
3時1分。
――トトトトトトトッ。
祐一郎の貧乏ゆすりが、床板とのハーモニーを奏でる。
「大丈夫か?」
「ッ……」
――トトトトトトトッ。
裸電球の明かりに包まれていると、今さら、まっ暗な森の中に逃げだせるわけもない。
3時2分。
「ゴクッ……あと1分だ」
ここにきて、やっと実感が湧く。
「フウ─……」
私は立ちあがり、壁に腕をつけた。
3時3分。
目を腕に当て、深く瞼を閉じる。
瞬間、頭を巡るのは、幸せだった頃の思い出。
遠い昔、小さな磨理子と公園で“ダルマさんが転んだ”をした。
言い終えて振り返ると、なぜかいつも片足でバランスを取って無邪気に笑う。
『動いた!』と言っても、『動いてないもん!』と言い張って。
あの頃にはもう戻れないとしても、この言葉を唱えるだけでもう一度、磨理子に会える。
「ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・ン・ダ」
はずだった……。