「あのゲームを……」
「……また!?」
これには、さすがにふたりとも血相を変える。
「方法を教えてくれ! 頼む……」
敬太の足にすがり、懇願する。
「わ、わかりました。だから、顔をあげてください」
おもむろに視線をあげると、祐一郎が携帯を操作し、
「これだよ、オッサン」
目と鼻の先に差しだす。
手に取り、クリアに浮かびあがった文章をまじまじと見た。
「ダルマさんが転んだ? こんなもので、たくさんの人が死んだのか?」
「……そうです」
一見“子どもだまし”の冗談に思える。
だからこそ、彼らのような若者が犠牲になっているのだろう。
壁掛け時計を確認すると、その時間までまだ半日以上ある。
「わかった。ありがとう。キミたちを病院の前まで送るよ」
戸を開けると、木々の間からすり抜ける陽の光が射す。
「ひとりでやるつもりなんですか!?」
「あぁ」
敬太は、立っている場所から動こうとしない。
「僕……残ります!」
「なな、なに言ってんだよ!」
ギョッとした顔で祐一郎が言う。
「見届けたいんだ。もしかしたら、父親と会えたことで、磨理子さんは成仏するかもしれない」
一世一代の賭けに出たように、敬太の決意は固いようだ。
「じゃあ、僕も……」
祐一郎の真意は定かではないが、ソファーに腰を下ろす彼を見て、私は再び戸を閉めた。