「朝から何やってんですか、不法侵入です。」

「今更だろ。」



くっそ暇なんだよね、僕。

だから涼のアパートに潜入したら、

速攻見つかりました。


「涼ー、朝ご飯食べたー?」

「はい、食べましたけど…。」

「聞いてみただけ。深い意味は無いよー!」

「詮索するつもりは無いですよ。」

食ってなかったらなんか作ってやろうと思ったのに。

僕ってば優しいな!!




「で、用事は何ですか。」



「え?」

「帰って下さい。」


「丁重にお断りします。」

「僕は今日仕事なんです!」

「僕は今日めっちゃ暇なんです!!」


「暇を持て余すぐらいなら勉強でもして下さい。」

「勉強なんぞクソくらえ。」

「こら。言葉が荒いですよ。」


「まぁ、どうでもいいって、そんなことは!」

「どうでもいいんでしょうか…。」

「でさー、僕は暇なんですよ、だから、」

「だから、なんです?」



「ご飯作って待ってるね!」


「え、どうやったらそんな考えになるんですか。」


「肉じゃがでいい?」

「意外と普通の食事…。」


「あ、ねぇねぇ!!

 あれみたいじゃない?」


「あれ…とは?」






「新婚さん!!」


「新婚の相手がマフィア…となると、

 体が拒否反応を起こしますね。」


「殴んぞ。」

「すみません。」


「ほれ、許してやるから行って来いー。」

「はぁ…。」



「あ、アレな本って、まだある?」

「ですから無いですって!」


あー、楽しい!

涼をイジるの楽しい。すごく。


靴を履いて、出掛けようとする涼に向かって言ってみた。


「りょーう!」

「はい?」



「いってらっしゃい!」


今度はどんな反応が返って来るのかな~?wktk




「はい、いってきます。千桜さん。」





ふんわり、柔らかく笑って言った。

優しく放たれた言葉が意外で、同時に僕が
恥ずかしいことをしてるって気が付いて、

「早よ行け!!ばーっかぁ!!」

本当に、つい、ね。

言っちゃった。



「馬鹿と言われる要素ありました…?

 まぁいいですけど…。


 くれぐれも家の中は荒らさないでくださいね。


 

 いってきます。」




やたらうるさいドアを閉めて、

なんだかんだで優しい言葉に、なんかモヤモヤする。



とりあえず、こういうときは寝て忘れるのがいいんだよ。

よし、二度寝しよう。



折角だし、アイツのベッド借りよ。

よだれ垂らしたらごめんね。



おやすみ。