「えっと、鹿島竜さん」
「あ、この間送ってくれてた親戚のおじさんだったっけ?」
「え、あ…うん、そう!」
海当日。
鹿島さんを連れて菜穂と浩太に会った私は、鹿島さんを紹介した。
そしたら、菜穂が鹿島さんを見て思い出したように言った。
そう言えば、前送ってもらった時イライラしてつい見られて聞かれてそう言ったんだった。
「あの、鹿島さんは保護者役としてついてきてくれるんだけど、いいかな」
「いいよ。紗千のお父さん紗千のこと大好きだもんね」
「過保護だもんな」
「そ、そんなことないよ」
2人の温かな目。
なんだか気恥ずかしい。
「てか、親戚なのに苗字で呼んでんのか?」
「えっ!?い、いや、2人の前だから!ねっ、竜さ…竜!」
「…ああ」
浩太の指摘に慌てて呼び直そうとした時。
ふいに幸子お嬢様が竜、と呼んでいたことがよぎって思わずそう呼んでいた。