「盗み聞きとか悪趣味すぎるだろ」
目的だったお手洗いを済ませると、部屋に戻ってきて鹿島さんにお説教される。
お説教といってもそう言われじとっとした瞳で見られるだけだけど、ものすごく居心地が悪い。
「ごめんなさい…」
「素直に謝るとか、気持ち悪」
「……だって、私、吉沢さんの言うとおりだと思って」
あの後、吉沢さんは鹿島さんとは別の方向にいったため、私が聞いていたことには気づかずに行ってしまった。
吉沢さんにあんな風に言われて子ども扱いされたこともショックだったけど、それ以上に自分が考えなしだったことが浮き彫りになったことがショックだ。
「鹿島さんがいつ休んでるかとか、考えたこともなかった。私の事、護ってくれてるのに」
「それがおれの仕事だし、お前が気にすることじゃない」
「でも、私を護ってくれてるんだよ。鹿島さんは、幸子お嬢様を護りたいのにその気持ちを抑えてまで」
「だから、お前が気にすることじゃない」