でも確かに、思い返せばいつも鹿島さんだった。
時々、本当にごくまれに久住さんだったり吉沢さんが来ることはあったけど。
廊下にいる時は交代しているかどうかはわからないし。
「別に、俺の事なんか気にしてくれなくていい」
「気にするに決まってるでしょ!仲間なんだから!」
まったく聞く耳を持たない鹿島さん。
鹿島さんらしいけど、吉沢さんは心配してくれているのに。
そういうの、いらないって思ってそうだもんな。
そんな事を感じながら、動くに動けなくなってしまった。
「そこまで、鹿島が頑張る必要あるの?…あんな、能天気な子」
「…どういう意味だ」
「だって、聞いたでしょう?久住さんから、今度海に友だちと行くからその護衛につけって!」
「聞いた」
「こんな状況の中、よくそんなこと…。子どもだからわからないんでしょうけど」
ビクッと肩が震えた。
有頂天になっていたけれど、その裏側でそういう風に思っている人がいたなんて。
確かに、護衛してもらわないといけないって言われて、そこまでしてもらうのはって思わなくもなかったけど。
それ以上に菜穂たちと会える嬉しさの方が勝ってた。
ずっとお屋敷に缶詰めで息が詰まっていたのは確かだし。